岩瀬ゆか

今年で8年目を迎えるおんさ展。8年の間に参加された方は延べ900名以上になります。参加したギャラリー数も13箇所。おんさ展では、場所と場所が手を取り合い公募展を開催することで、人と人とかその場を介して交じり合い、次へ繋がる何かが生まれることに期待をしています。実際にこの8年の間も作家同士が新しい試みをはじめたり、ギャラリーと作家が出会うことで個展が開催されたりなど、様々なことが、おんさ展をきっかけに生まれた実感があります。また私達の見えないところでも、他にもたくさんの事柄が生まれているのだろうと想像しています。
8年目を迎えて、これまでのおんさ展を振り返り、また再度おんさ展を見つめ直していく機会として、これまで参加してくださった作家にインタビューをして、おんさ展の印象や、今後期待することなどインタビュー形式でお聞きするのが、ONSA DOYASAです。作家に話を伺い、インタビューをホームページに掲載することで、おんさ展を知らない方にも、おんさ展のことを深く知ってもらえればと思いますし、私達もおんさ展の今後を考える貴重な意見をもらえる機会になるのではないかと期待をしています。

第一回目のONSA DOYASAは、今年のフライヤーやホームページのメインビジュアルを担当されている 画家の岩瀬ゆかさん。彼女は第一回目から参加されて、今年も平面ジャンルで参加してくださっています。おんさ展より以前に行われた、おんさ展の前身とも言える公募展にも参加経験があり、その時のお話から伺いました。また、現在の作風に至るまでの気持ちの変化など、制作面についてもお話を伺っています。

聞き手 BOOKLORE 中島恵雄

おんさ展への参加は何回くらいされていますか?

第2回か3回の「そらみいと」展から参加しています。

おんさ展は?

第1回目からです。

今回までお休みなく?

覚えていないけど、お休みしていないような気がします。今年何回目でしたっけ?

8回目です。おんさ展にどんな印象がありますか?

会場の方や運営スタッフの方とか出会いの場ではありますね。私が交流会にあまり行くことができていないので、展示している作家さんと触れ合う機会は実はそんなになかったかもしれません。でも展示中に会場へ行くと他に参加されている作家さんがいるので、そういった意味では出会いはありました。そして、後々出会った人が、実はおんさ展にも以前に出してましたっていうことがよくあって、実は会場が一緒だったっていうのがありました。後でインターネットで調べたら、本当に一緒だったってわかったり。

交流会はあまり参加されてないのですね。

子供が産まれてからは行けなかった。交流会も最初からやっていなかったですよね?

そうですね。途中からですね。

その頃に、子供が産まれたから体の自由がきかなくなったのだと思います。

おんさ展がきっかけで知り合った人と何か一緒にやったりなどありましたか?

それは、今のところないですけど、おんさ展で出会った人をマークしているというのはあります。その方は別の場所で知り合ったのですが、その方とおんさ展にも出してますっていう話になって、彼女は絵も描くけれど、アクセサリーもやってて、私は今度アクセサリーをやろうと思っているから、彼女のアクセサリーの感じが好きだったので、ちょっと教えてもらおうかなとか、そういうのはあります。おんさ展で出会ったわけではないけれど、おんさ展に出てますっていうのが話のきっかけになりました。

おんさ展をしている意味っていうのは、たぶんそういうところなんです。公募と言っても、厳しく選んでいるわけではないんですよね。

そうですね。あまりにも選んでないので、途中でわーっと広がった時に一旦やめようと思ったんですよ。

そうなんですね。元々は、SEWING GALLERYとiTohenが企画展をしたのが始まりで、SEWING GALLERYは以前は毎年4回くらい、多人数参加の企画展をしていて、それは審査もなく展示をしていたんです。SEWING GALLERYのコンセプトが「誰でもモノが作れて、誰でも表現をできる」っていうことだったので、それを実践していたんです。それでiTohenとsoramimibuncoさんがやっていた「そらみいと」が終わった時に、iTohenのスタッフだった角谷さんがSEWING GALLERYに話を持ってきて、一回目は『「」と()』という展示を、iTohenとSEWING GALLERで企画しました。その次の年にbeyerができたので、会場を増やそうというところから、millibar galleryとmizucaにも声をかけて、おんさ展が始まったんです。そういう始まりがあったので、元々はSEWING GALLERYのコンセプトがそのままおんさ展にいっているところがあって、一応公募展としているけれど、なるべく誰でもが参加できる形をとっています。

そうなんですね。一時期、どこのギャラリーも似たような感じになっていた印象を持ったことはあります。いろんな人が出てるけれど、どこに行っても同じように見えたことが……。

それは、僕も少し思うところはありますが。公募展で難しいですよね……

とはいえ、それでも、続けてくれているのが有り難いと思っていて、自分自身、作品発表をするっていうのが難しい時期があって、そういう時でもおんさ展は受け入れてくれるから、ある意味甘えられるんです。年に一回だし、おんさ展には出し続けようっていうのを、出産後思うようになりました。それまでは「やめようかな、どうしようかな」って思っていたけれど、出産後は出し続けようと決めました。

そういう存在は、一番良いかもしれないなぁ。

ちょっと、母的な。結局、参加した後すごいことがあるとかじゃなくて、友達になったりとか、こういうことやっている人がいるんだなって知るのが、おんさ展だと思います。

ギャラリー側としても、たくさんの作家に会いたいなっていうのがあって、そこから個展をする人もいます。なので、評価されたいと強く思って参加する人には少し物足りなさを感じるかもしれないです。なるべく、作家さんの方から交流会など積極的に参加してもらうと意味のある展示になると思っています。

長く参加していると、運営している人とも段々付き合いが長くなってくるじゃないですか。何となくそこに関わりたいみたいのが出てきますよね。仲間感というか、「私も入れてよ」みたいな感じですかね。

本当にその通りで、2年前まで言葉ジャンルは、主催者側で本を作って参加者の方の作品を一冊にまとめて出していたんですが、一回目から参加してくれている西尾勝彦さんから、昨年アドバイスをもらって、参加者の方が一冊の本を作って出すっていう形に変えたんですよ。そうしたら、それがとても良かったんですね。長く参加している方にアドバイスをもらえるのは有り難いです。
今後、おんさ展に希望などありますか?

ツアーみたいなのやってもらってもいいかも。

なるほど。僕は作品を買うツアーみたいなのをやってみたいなぁって個人的には思っているんですよね。作品を買うのって少し勇気がいるから、一緒に周って買ってみるとかいいなぁって。

おんさ展に出している方の作品って結構安いですよね。

岩瀬さんは、作品の価格をどうやって決めているんですか?

最低1万円で、そこから、サイズで考えています。

安いですよね。何か意図はあるんですか?

自分で持っていたくないので、いろんなところへいって欲しい。それには、服を買う感覚で買える値段にしてます。それを旦那に言うと、それで食っていこうとしていないからやって言われますけど(笑)。

男はそういうこと言うんですよね(笑)。

そうなんですけど、自分自身が5万、6万するものが買えないので、4万円までなら、コート買えるかなぁっていうくらいで、それくらいまでならばって。

買う方は有り難いですけどね。

他の作家さんがどうしているのか聞きたいですけど。実働時間で考えちゃうと、めっちゃかかっているものもあれば、案外「すぐにできちゃった」みたいなのもあるし、自分でお金の価値を測るときに、自分は時給はいくらって考えないとなかなかわからないですね。基本的には、作品は誰かの元にいって欲しいです。まぁ、価格は本人が納得してたらいいんじゃないですかね。

制作スタイルはどんな感じですか? 常に描いているわけではないですよね。

そうですね。展示の10ヶ月くらい前から準備をしています。以前は半年前くらいでしたけど、子供ができてからは、それくらいです。展示を決めないと描けないんです。

毎回、おんさ展に出している時ってテーマを考えているんですか?

自分のこだわっているテーマをそのまま出しています。

「響き」とは考えてないですか?

あまり考えてないです。響きも「おんさ」自体がそうだから、わざわざしていないです。

昔は、人を描いたじゃないですか。そこから完全に風景に変わっていったきっかけはあるんですか?

もういいかなって思った。

だいぶ違いますよね。人物はキャラクターな雰囲気もあったけれど、今は少し抽象よりになってきましたよね。すごい変化だと思うんですけど。

自然にそうなっていたんです。人を描くきっかけになったのは、「私って何なの?」っていう25歳くらいに大スランプがあったんです。

その前は何をしてたんですか?

イラストを描いてました。イラストカットみたいなものを描いてて、おじさんの絵とか。そこから私って何がしたいのっていうのがわからなくなって、ある人に見せたら「これを見ても、君がなんなのかわからない」って言われてしまって、そんなん考えたこともなかったし、そこで軽いパニックになって、そこからちゃんと塗りこんで描くようになりました。そうすると、描く対象について迫るくらい描くようになって、それが面白かったんですけど、それにも疲れちゃたのかな。わかりません。人を描いた後に、林檎とかキウイとか果物を描くようになって、そこから変わっていったのかもしれないです。そこから段々、風景になっていきました。今の作風になったのは、一つの絵に対して、描く時間が無くなってしまったからというのもあります。

結婚して、子供ができてっていうきっかけもあるんですね。突然山歩きが好きになったってわけでもないですね。

違いますね。むしろ、昔の方が山に行ってましたね。こだわりが無くなるにつれて、ああいう感じになった気がしますね。

もともと、イラストレーター志望だったんですか。

そうです。学校もデザインのイラストレーション科にいました。

今は大阪の中心の中之島に住んでいますが、都会に住んでいる理由はありますか?

昔は田舎に住むみたいなイメージを持っていたんです。ある意味縛られていたんだと思いますけど、そこから脱却して現実派になりました。あとは、年をとってからも私は都会の方が楽しめるのかなって思って。結婚する前は田舎に住みたいなって思ってましたね。今も、田舎に行ったら「いいなぁ」とかって思う。海辺の街とかで、ベランダで干物してとかも「ええなぁ」って思うけれど。それと暮らしは別みたいな。都会も悪くないって最近は思う。都会にしか住んだことないけれど。

最後に何かありますか?

おんさ展は本当に有り難いです。運営されている方は、皆さんそれぞれの仕事を抱えながらの運営だと思うのですごいなぁ、有り難いなぁって思います。

こんなギャラリーが加わったらいいなぁっていうのとかありますか?

特にないかな。今の感じがとても嬉しいですね。毎年、新しいギャラリーに展示してもらっていて、それも有り難いです。

今年はhitotoとUMLAUTですね。

そうですね。hitotoさんには行ったことがないから、またここから知り合えるのがとても有り難いです。

Profile
岩瀬ゆか yuka iwase
1978年生まれ。大阪在住。2006年頃より関西を中心に個展やグループ展などで作品を発表。今年のおんさでは「平面」に参加。現在はグラフィックデザイナーの仕事をしながら、画家として作品を制作。今年9月には、iTohenにて個展を開催。2児の母。
http://iwaseyuka.com
聞き手:中島恵雄
出版レーベル BOOKLORE 運営/オンラインストア「雲の生まれるところ」店長