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ONSADOYASA 第三回目は、写真ジャンルからsaredoさんをご紹介します。おんさ展を何度か観たことのある方でしたら、きっとsaredoさんという名前にピンと来なくても、華氏さんというお名前や、御面をつけた人物を撮影したモノクロ写真の作家と聞けば、聞き覚えや見覚えがあるかもしれません。写真ジャンルでは、第一回目から出て頂いている作家さんです。今年は、パートナーのカヤザワアリアツさんと昨年から始めたsaredoというユニット名での出展となりました。名前を変えた経緯や、華氏さんの代表作ともなっている御面をつけた被写体を撮影した作品を撮りはじめたきっかけなどもお聞きしています。

聞き手 BOOKLORE 中島恵雄

写真はどこで学ばれたのですか?

華氏(以下 華):元々は、美術系の大学で版画専攻だったので、絵を描いたりとか、写真や紙漉きを授業でやったりもありました。結局、版画の中でもペーパーワークっていう、立体を作ることを専攻としていたので、版画のことは全然やってなかったんですけど。

そうなんですね。はじめから写真家さんだと思ってました。

:全然。大学を卒業して、写真関係で働くことになって、まわりにカメラオタクとか、写真がすごく好きな人が多かったので、そういうところにいると、自分もやってみようかなっていう気分になって。

じゃあ、22,23歳くらいから?

:24,25歳ですね。カマウチヒデキさんってご存知ですか? その方にいろんなことを教えてもらったりとか、他の人にカメラをもらったりとか。カメラを初めて持ったのは、大学の授業でカメラがいるというので、フィルムカメラのNikon FM2を買いました。海外へ行くのも好きだったので、それを持って行ったりとかしてました。

僕も持ってますよ。使いやすいですよね。

:それだけは、ずっと手元に置いているカメラです。

今回出品された作品もそれで撮ってるんですか?

:これは、会社の同僚からもらったミノルタのオートコードという二眼のものです。上から覗く行為がすごいいいなと。

じゃあ、ブローニーフィルムですね。今は値段がだいぶ高くなりましたよね。

:そうなんです。だから、最近はおんさ展に出すために、二眼を使って、写真を撮ろうかなっていうことになって、その時にフィルムを買うんですけど、毎年高くなっていくから、もうそろそろダメかなぁって。

一本千円くらいしますよね。

:でも撮影してから、現像に出して、それをスキャナで取り込んで、少し補正してっていうことをしてるんです。そこらへんがデジタル入っているんですよ。結局、家のプリンタで出しているんですよ。

え、そうなんですか? 今までのおんさは全部?

:はい。学生時代は、暗室とか入ってたんですけど、今はなかなか時間が取れなくなって、でもプリント屋さんに出すにしても、やっぱり微妙に自分の思っているところと違うので、自分で出すのが一番しっくりくる。だから、どうしても銀塩じゃなく、デジタルになってます。ちょっと中途半端なことになっている。

そういう人も多いでしょうね、今は。どっちでもいいちゃいいですからね。

:結局はデジタルで撮ってそのままやった方がいいかなっていう気持ちもあるんですけど。

でも、デジタルとフィルムだと撮る時の行為がまた違いますもんね。

カヤザワアリアツ(以下 カ):失敗も出てきたりしてね。偶然なやつ。

:今回の作品も巻き取りが失敗しているのがあって、それも面白かなと思って出してみたんです。

いつも作品では、仮面をした人を立たせて、木のある丘の上みたいなところで撮ることが多いですよね。

:奈良で撮ってます。おんさの一回目は今まで撮り溜めていたものを出していたんですけど、3回目か4回目からは、このシリーズになっています。

このシリーズをやりはじめたきっかけはあったんですか?

:奈良に住んでみて、はじめて気づいたのは、やっぱり遺跡とかが多くて、大きな木があったら、その下に祠があるとか。

:神社よりも祠と一緒に撮ることが多いんですね。結構地元の人に聞いたら、すごく歴史が古くて、例えば田んぼの近くのものは、五穀豊穣とかを願って、建てられて、それがすごく長く続いているとか、名もなきみたいなところだけど、すごく古い。

奈良はそうなんでしょうね。

:僕が結構ロケ地を探すようになったりしているんですよ。僕は奈良で車で回る仕事が多いので、車の中から大きめの木を見つけたら、祠がありそうと思って、行ってみたら、やっぱりあったりして。

旦那さんが探してるんですね。

:二人で探すこともあります。神社もたまにあるんですど、名前が有名なところでなくても、すごく雰囲気のあるところがあるんです。

このインタビューでも伺ったのですが、詩人の西尾勝彦さんも奈良に引っ越してから、奈良のことを言葉で表現したいということではじめたんだそうですね。奈良ってすごいですよね。

:このシリーズの最初の一枚は、私が電車通勤をしている時に、田んぼの風景が広がっているところに、一本の木があって祠が立ってたんで、それを毎日見ていたら、何かこう頭の中で物語というか、奈良の怪しげな妖怪が出てきそうとか、そういうことを想像していて、ああいう写真が撮りたいなっていうイメージが湧いたんです。

:あの仮面もきつねじゃなくて、普通にどっかに売ってたキリンなんです。きつねだとあまりにもベタやし。童子というか、子供みたいな妖怪みたいな、人間ともどっちとも取れないようなものが、写ったら面白いなと、僕は勝手に思ってるんですけど。

:このシリーズの前は、風景とか友達とか、友達の子供とかを撮ってたんですけど、このシリーズになってからは、ずっとこの人が被写体になっています。

今回から作家名saredoになったのは、なぜですか?

:去年から、写真ではなくて、僕の仕事で糸を売ったりとか、靴下とか帽子を作ったりして、この人の作品も作ったりして、saredoという活動をはじめまして、写真の活動もsaredoの中でやろうかなと。靴下とか、帽子のブランドみたいなものなのですが。

元々、アパレル関係のお仕事をされていたのですか?

:今は、糸を売る仕事をしてて、工場さんに販売する仕事です。

saredoは日々は何やっているんですか?

:落ち綿100%で紡いだ、リサイクルコットンという素材に出会ったんですね。その素材が面白かったから、それを色を染めたりして、糸を作って、その糸をかぎ針とか手芸をされる方向けに、手作り市とかで販売したりとか。それで、作品作ったりとか。

:私、かぎ針もするんです。結婚して、ふらふらしていた時に、たまたまかぎ針にはまってしまって。だから、写真もやりながら、かぎ針もやってて。最近は、糸車を回して糸を作ったりとか。纏まりないですね。写真も、saredoの中でやっていけたらね。

:最初は華氏って名前でやってて、男の人か女の人かわからない感じで、作品を作りたいなっていうのがあって、何の人かわからへん感じで。これは大学のときから使ってた名前なんですけど。会うと、女の人だったんやって言われると、ちょっと嬉しいみたいな。

華氏の名前は紙で何か作ってた時から使ってたんですか?

:その名前では発表してなくて、おんさではじめて出した時に、この名前で出すことにしたんです。

僕は、この名前はおんさでずっと見てきているから、この名前で別のジャンルとかに出されたら、変な感じしますけど。

:でも、華氏の名前で平面も出してみたいなって思ってたりしてます。

今回もsaredoさんが華氏さんということが知らなくて、華氏さん今回出てないわって思ってました。

:自分の中で写真の熱が冷めてきたことがあって、でもこの人に撮影の場所探しにいくでとか、言われたりして、だんだんと彼の方が熱くなってきてて、なので、ひとまず続けようかなっていうことになって、それで今回軽い気持ちで名前変えてみようかなって。去年、saredoとして活動することになって、saredoとしても写真を発表できたらなって思って。中身は全然変わってないんですけどね(笑)

これから華氏って名前は使わないんですかね。

:いや使うかもしれないです。

使わないともったいない気がしますけどね。もうイメージついているから。

:戻そうか(笑)

:来年から華氏にしようかなぁ。

最初から見ている人は、華氏さんのイメージはついていると思いますよ。写真もインパクトあるし、残っているから。

:嬉しいです。でも何となく気分で変えてみようかなって(笑)

:軽いなぁ。

:でもこの軽くいけるのがおんさかなって。怒られるけど(笑)。

そもそもおんさを知ったきっかけは?

:iTohenでチラシを手に入れたんです。その時は結婚をして仕事を辞めて、結構動き回ることが多かったので、何をしようかなって思った時で、そのチラシを手にとって、写真が溜まっているし、ちょっと出してみようかなと、軽いノリで。

二回目から?

:一回目です。一回目はiTohenさんが会場で、それも写真は人数が少なかったら、平面と同じ会場になって。二回目も写真って少ないんかぁって思って、ちょっと休憩をしたんです。でも、その代わりに、二回目は友達に私の代わりに出してって言って、出させました。そうしたら、彼女が三回目も出すっていうから、私も頑張って三回目からは出しています。

それまでは、他の展示会などに出したりとかもあったんですか?

:全くなかったです。学生時代は大学から紹介される公募を版画とかで出したりはしてたんですけど、写真でははじめてです。

何でおんさ展には出そうかなと思ったんですか?

:気軽に出せるかなって思って。

他に知り合いはいなかったですか?

:いなくて寂しかったです。

その後、続けてて知り合いとかできました?

:ちらほらと。でも、めちゃくちゃ親しくなるとかじゃなくて、この人の作品好きやなぁとか、見ててあったし、あとは、ブランクの長い大学の時の同級生を引っ張ってきて、出しぃやって、何人か送り出しています。

すごいなぁ。

:作品を見たいから出してって。全然発表しない子とか、結婚して子供ができてとかで、全然作品を作ってない子とかいるし、こういうの(おんさ)あるし、気軽に出せるから出せばみたいな感じで。

そういうおんさの使い方おもしろいですね。

:結構そういう人いますよ。

交流会とか参加していますか?

:何回か。

メインの交流会はストイックな品評会とかですもんね。

:あれは緊張するんですよね。でもメインは頑張って出ようかなって思ってて。

やっぱり写真をやっている人とのつながりはあまりできないですか?

小檜山さんとか。彼の作品はすごい好きです。松川さくらちゃんも同じ大学で、彼女はずっと写真で、東京で勉強していた時期があって、京都に戻ってきたときに、おんさを勧めました。それから彼女はギャラリーメインとも親しくなって、そこからいろんなことしていますよ。

すごいなぁ。

:いろいろ、ひっぱってきます。

:自分がしないで、なんで肝っ玉母さん的なことを(笑)

日頃から作品をつくっている感じですか?

:日頃は、日常を撮ったりとかはあるんですけど、このシリーズはおんさ展に出すために、撮ろうかなと思ってやっています。毎年、おんさ展は写真のジャンルは人数に幅があるじゃないですか。それで萎えたりすることも実はするんですよ。

そうなんですよね。写真はなんでこんなに集まらないのかな。

:園長先生と二人のときは、私もそのとき出さないでおこうかなって思ってたんですけど、募集締め切りの前日くらい出すことを決めたんです。

おととしですね。

:園長先生との二人展になってて、それはそれで楽しかったですけど。

こんなに集まらないのが不思議ですよね。

:場所が変わったら、また増えるんちゃうかなっていう気がしていますけどね。

:平面とか他のジャンルの人って会場変わるじゃないですか。写真はずっとギャラリーメインだったっていうのに、ひっかかるものがあったのかなっていうのは、ちょっと思いましたけど。今回は、メインが新しい場所に変わったから、気持ち的に変わるかなって。

写真をやっている人はいっぱいいるはずなのにね。写真やっている人は群れるのがいやだって、ナカザワくんは言ってたけど。人と関わるのが苦手って。

:ストイックな感じでやられている方が多いかもしれないですね。

:そのへん私はゆるゆるなんで(笑)。まぁ、ノルマじゃないですけど、おんさは続けようかなっていう。

:これがないと自分が何もしなくなるからね。

:そうですそうです。続けて参加することで、このシリーズができたっていうこともあるし。

個展はされたことはありますか?

:ないです。

そうなんですね。意外ですね。

:してみたいなっていう気があるんですけど。

ナカザワくんからめっちゃ言われるでしょう。

:いや、言われたことないです。言われてみたいです!

:ギャラリーの人と一緒に、選んだりそぎ落としたりすることもやってみたいですね。

おんさの印象ってどんな印象がありますか?

:いろんな人との出会い。それと作品を観る機会。

:出ている方が、きちっとしたものを出そうという意識でやられているから、刺激になります。間口はすごく広いですけど、それに甘えて出されている方は少ないですし。簡単に出られるけど、合同展としてクオリティーが高いから、ちゃんとしてものを作ろうという思いにさせてくれるような展示。自分も頑張らないといかんと。

おんさに参加して、この展示がきっかけではじまったこととかありますか?

:そういうのはないかな。

でも、おんさがきっかけで、いろんな人を紹介していくっていうのも、ある意味そうですね。

:そうですね。あとおんさがあるおかげで、ナカザワさんとか、角谷さんとかと知り合えて、ギャラリーって緊張する場所でもあるじゃないですか。でも、知っている人がそこにいてるっていうことで行きやすくなるし。

:それで、写真をされている方とのつながりも結構増えたりするし。メインつながりで、友達になってくれた人が、こちらの展示をみにきてくれたり。

そういう方に作品の感想とかも聞くんですか?

:そのままでいいんちゃうとか、ナカザワさんには言われたし。

今後、おんさに期待することとかありますか?

:毎日、日記的な感じでブログとか書くとか。

フェイスブックはあるけど、日記は書いてないですね。

:この前書かれていた、ツアーみたいなのもいいなって思いましたし、2年前にあった和歌山へ作品が巡回するっていうのがいいなって。いろんなところに作品が回っていくっていうのは、そこにいくきっかけにもなるし。毎回、新しいギャラリーさんが参加されるっていうのもいいなと思います。

そうですね。それはいいですね。

:あとはブランクあいている人とかもどんどん出て欲しいなぁって思います。

Profile
華氏/saredo
おんさvol.1,vol.2〜参加
2011年KYOTO PHOTO AWARD FOTON賞
2012年2013年2014年「写真。」展参加/大阪caso
2015年3人展/大阪 伽奈泥庵
など企画展やグループ展中心に活動
現在、奈良で写真と糸紡ぎ、編物などの表現活動をしながら2014年よりカヤザワアリアツとsaredoとして活動開始
現在、大阪ギャラリー963にてアクセサリー展に出展中(7月中)
http://saredo-watanowa.hatenablog.com
http://kashikokeshi.blogspot.jp(ブログ)

聞き手:中島恵雄
出版レーベル BOOKLORE 運営/オンラインストア「雲の生まれるところ」店長